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発作的タイ旅行記【5】

hossathai26.jpg
■日が落ちてゆく…。

太陽はほとんど沈みかけ、淡い月の光がそこに溶けて滲んでいる。
まじっすかー、このまま野宿っすかー。
…船頭に向かって聞こえよがしに日本語でつぶやいてみるが、船頭はこちらを振り返るでもなく、馬鹿みたいな色のバケツなどを持って黙々と店仕舞いを続けている。あくまで20人分の金が集まらないと船は出してやんないという感じだ。
思わず、「排他的経済水域」と言う言葉が頭に浮かぶが、この発作的な誤引用もちっとも面白くない。
しばらく桟橋の待合ベンチで待ってみるが、人が集まる気配がないので、タバコなど吸って長い間ぼんやりとしていた。最初は港の周りを歩いて小さな宿でもないか探そうと考えていたのだけれど、何だかめんどくさくなってしまったのだ。
学生のころから野宿旅は慣れたものであるが、海外で野宿というのはさすがにまだない。
まあ暖かいし、海岸で一晩明かすぐらいならなんとかなるやろ。それにしてもあれだね、腹減ったね。
月のひかりのすき腹ふかくしみとほるなり、って山頭火。

hossathai27.jpg
■落日完了。暗いぜ。

完全に日が落ちてしまい、とりあえず桟橋のたもとに戻って海岸で身を落ち着ける場所を探そうと立ち上がると、向こうからがっしりとした体格の白人がやってくる。
「船待ってるのか?」と男が髭をなでながら言う。どことなくフーファイターズのデイヴ・グロールに似て迫力がある。
「そう。でも今日はだめみたいだね。20人集まんないと出ないんだってさ」
「知ってる。だから4人集めた。残り手伝わないか?」
まさに渡りに船。二つ返事で引き受けた。
デイヴ(似)と手分けして、そこらへんにいる奴やバスの最終便でやってきた乗客などに片っ端から声をかけまくり、なんとか合計7人が集まった。
全員を引き連れて船着場の係員に交渉すると、各人100B追加で向こうに渡してやるという。交渉成立。ざまみろ排他的経済水域、とつぶやきながら船に乗り込む。
がらがらと大きな音を立てて船が港を出たのは夜9時近くのことであった。

沖に出ると、デッキの上を滑ってゆく行く潮風が心地よい。雲ひとつない空に浮かんだ月が煌々として、水面に映った月の子供が楽しそうに船を追いかけてくる。
船の縁に背をもたせかけていると、デイヴがやってきて握手を求める。隣にはどうやら黒人と白人のハーフらしい女性がいて、こちらは奥さんのようだ。ほっそりとして美しい。潮風に流された長い髪をかき上げる度に、薬指にはめられた銀の指輪もまた月の子供になって、黄金色に輝いている。
「お前、どこから来たんだ」
「日本」
「一人で?」
「そう」
「そうか、いい旅になるといいな」
「あんたたちもね」
騒々しいエンジン音に負けないよう、僕たちは大声で会話を交わした。奥さんは黙ったまま、にっこりと微笑んでいる。

サメット島ナダン港、着。
デイヴは島の奥地へ向かうといい、ソンテオ(ピックアップトラック)に乗り込む直前、再びがっちり握手。今度は奥さんとも握手を交わした。
僕は港からほど近い、サーイケーオというビーチに行くつもりだった。バーンペーの港で渡された地図を見る限り、歩いて行けそうな距離なのだが、いかんせん道が暗く、港から続く二股の道のどちらに歩いていったらいいのかもわからない。
ぼやぼやしているうちに、どこからか集まってきた人々でサーイケーオ行きのソンテオがいっぱいになってしまう。まだ乗れるかというと、運転手が助手席に座んなといってくれたので、乗り込んで出発。
舗装の悪い道をがたごとと走り、途中の料金所のようなところで一旦停止。小屋から出てきた係員が、荷台の観光客たちから金を徴収しているようである。小屋に書かれた英語の看板を眺めると、どうやら国立公園に入るための料金のようで、200Bと書かれている。助手席の窓を開けて自分の分を払おうとすると、運転手が僕の肩をつついて、だまっとけ、という仕草をする。助手席に座ってりゃわかんないから、と。俺、素直に黙る。


ビーチの奥までいったところでソンテオを降り、ビーチに足を踏み入れると、そこはもう、お祭り騒ぎである。
きらびやかな照明と、どこまでも続くように見えるビーチカフェの明かり。低く流れてくるクラブサウンドに、ところどころで焚かれた香と、甘やかな食べ物の匂い。ビーチの向こう側には大きな焚き火が設けられ、時折、色のない小さな花火が明滅している。
とたんに気力を回復したワタクシは、手近なところにあったサーイケーオ・ビラという宿屋でシングルのバンガローを借りる。800Bとちょっと高めだが、お祭りってそんなもんだ。
案内された部屋に荷物を投げ込み、さっそくビーチに出てシンハー。文句のつけようもないぐらい美味い。
海から吹いて来るゆるやかな風は、先ほど船の上で感じたのと同じ、優しい海の匂いがする。あたりを行き交うリゾート客は白人がほとんどで、アジア人の姿はほとんど見ない。

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■楽園。⇒やっとたどり着いた。⇒ごはんだごはんだ。

ビールを飲んでしまうと、言いようもないほどの空腹感に襲われ、近くのビーチカフェでシーフードがたっぷりと入ったグリーンカレーの大盛りと、シンハーを2本。至福である。

遅い夕食の後、満ち足りた気持ちでビーチを歩く。
建物に近い砂浜に規則正しく広げられた、タオルケット大のタイ織物の上では、白人たちが寝そべってカクテルを飲んだり、楽しそうに会話を交わしたりしている。
その脇をすり抜けて海の方に歩いていくと、ちょっと離れただけで浜辺の音楽は小さくなり、照明の光もおぼろげになる。穏やかな潮騒と月の光がそれに取って代わり、その中を寄せてくる波に沿ってのんびりと歩く。
ビーチを振り返ると、まばゆい照明の連なりが島のように輝いている。

深夜、コンビニで買ったビールを飲みながら、阿呆みたいな顔をしてプリングルスをほおばり、英語チャンネルでニュースを見る。
タイで自分が着いた当日に同時多発テロがあったと知ったのは、この時である。しかし、それもなんだかこの島では遠いことのようで、なかなか実感がわかない。
まあいいや、とチャンネルをタイ語放送に切り替え、わけのわからないタイ製ホラー映画を見ながら、ぐったりと疲れた体でベッドに入る。
この時もまだ日本では複数人がワタクシの安否を気遣っていたのだが、本人はそんなことはつゆしらず、再度ベッドの中で「排他的経済水域」と口にして、今度はなかなか面白かったので、くふくふと笑ってみたりしていたのである。
【続く】

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