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ad hoc hypothesis

どうあっても自説を曲げない人がいる。
これが友人であれば、「あほか、この偏屈が。顔を洗って出直してこい。チャーミーグリーンで」などとやさしく窘めることもできるのだけれど、ビジネス上の関係となるとそうもいかない。
幸いにしてわたくしはあまりそういう頭の固い人と仕事をする羽目になったことはないのだけれど、先日コンサルティングソリューション関係の仕事をしている友人に、あるクライアントの話を聞いて考えさせられた。
まあ、あまりはっきりと書くわけにもいかないので詳細は適当に変えてしまうけれど、大筋は以下のような感じである。
そのクライアントは自社商品の売上低迷に悩んでおり、A君にある仮説を提示した。
「うちの商品が売れないのは、実は日本人の大半が人間のふりをした河童だからではないか」
実にこまったおっさんである。
だが、A君は先方が重要なクライアントであるため、それに対して具体的な返答を用意しなければならなかった。
普通に考えれば、
・河童というものの実存が確認されていないこと
・河童と人間の生物学的な違いが定義付けられていないこと
・日本人の大半が河童であるという仮説が統計に基づいたものではないこと
・顧客の大半が河童であることと商品の購買傾向に明確な因果関係が示されていないこと

など、問題点の多い仮説であることは確かである。
もちろん上記仮説を証明する為に努力することもできるが、万が一証明できたとしてそれがなんだというのだ。
河童に売れる商品を新たに開発するとか?きゅうりでも栽培しちゃう?
このようなリサーチに時間を費やすよりは、仮説に対しての反証を用意し、別のアプローチからの考察を促した方が有益な結果をもたらすはずだとA君は考えた。
もちろんこのような反証は「悪魔の証明」になってしまうわけだが、ビジネスは科学ではない。ある程度の根拠があればクライアントも動くだろうと思ったのだ。
そこでA君は日本人の大半が河童ではないという空しい反証を生物学的根拠に基づいて作成、もうちっとましな新しい仮説を持ってクライアントのもとを訪れたのである。
したら。
「わかってないねー、君は。相手は河童なんだから超電磁フィールドとか出しちゃうわけよ。皮膚から、じわーって。で、人間に化けてんの。わかる?生物学的根拠なんてばんばん無視できるわけ。そんでもって、国会なんかにも河童はかなり入り込んでて、日本を牛耳ってんのよ。そんなんだからさあ、うちの商品なんて当然見向きもしないわけ。そういう現状把握してる?ね?次はちゃんと考えてさあ、もすこしましな提案持ってきてよ」
まあ、多少極端な例ではあるが、こういうのをアドホックな仮説(Ad hoc hypothesis)という。
ある仮説が反証されたときに、その反証を否定するためにその理論に後から付け加えられ、反証可能性を損なう補助仮説のことである。
そもそもクライアントは商品の売上低迷を改善するべくA君に相談をもちかけ、仮説もその原因を探ることが目的だったはずなのだが、いつの間にか日本人の大半が河童であるという説を押し通すこと自体が目的にすりかわってしまっている。
大体なんだ、超電磁フィールドって。
こういう社員を持ってしまった企業は不幸だけれど、まともに相手をさせられるコンサルタントはもっと不幸である。
こんなことを書くと、「何が不幸なんだ。関係者全員がドMで喜んでいるかもしれないじゃないか」という反証をするひとがあるかもしれないけれど、それには以下のアドホックな仮説を持って対抗したい。
「彼らは全員河童です。皮膚から放出される超電磁フィールドは非合理的なオーダーや、空しい感情を嫌います」

フレイザー図形にみる彷徨の諧謔的隠喩について。

半ば迷子が趣味である。
迷子になると、これまで見たことのない新鮮な風景に出会えるし、時として予期せぬ発見があったりもするしね。なんつーんすか、束の間の街角探訪?みたいな?
という安っぽい発言でお茶を濁し、折角立っていた茶柱を沈めて不幸になるのは簡単だが、要は単なる負け惜しみである。
だってそうでしょう?いつも時間の有り余っている自由人ならともかく、こちらには毎日の予定もあればアポイントもある。はっきり言って迷子になってる時間なんかねえんだよ、と思いながら日々暮らしているのだけれど、大抵の場合気付いた時にはもう手遅れで、呆然と見知らぬ路地に立ち尽くしていることが多い。
もうおわかりかと思うが、わたくしはかなりの方向音痴である。
方向音痴という言葉が差別的なら、方角関係に弱い人、方向弱者、あるいは馬鹿、などと呼んでもらってもかまわない。
とにかく、方向音痴というのはもう持って生まれた病気のようなもので、本人の意思とは全く無関係に発揮される特殊能力である。
たとえばあなたが突然、都内の見知らぬ路地に置き去りにされたとしよう。もしあなたがまともな方向感覚の持ち主であれば、ランドマークなどを頼りに、複雑極まる都会の迷路を(しかも比較的易々と)脱出するだろう。しかし方向関係に弱い人はこれができない。頭ではランドマークを探すとか、曲がった角の総計からおおよその方角の検討をつけるとか、そういうことはわかっているのだが、なぜかそれがうまくいかない。なぜかうまくいかないから、病気なのである。
一時期は「北半球では太陽に時計の短針を向ければ、その短針と文字盤12時のちょうど真ん中が南を指している」などという高度な知識を身につけ、実践してみたりもした。しかし、街中での遭難に際しては、こういう知識ははっきりいって無駄である。そんなことをしなくたって道に迷わない人はちゃんと希望の場所に辿りつけるし、方向音痴の人は余計な情報に惑わされて、普段以上に奇怪な進路をとるだけである。
で、方向音痴の人は様々な努力をした挙句、まったくもって目的地にたどり着けないストレスから、様々な心理状態を体験する羽目になる。
道に迷ったかな、と気付いた時点でまず最初に感じるのは、「またやっちまった」というような自責の念である。
次に感じる感情は若干責任転嫁気味で、「なんなんだ、この道。複雑すぎるだろ。作ったやつは阿呆に違いない」という苛立ち。
その次は「どうなってんだよ、全然わけわからん」というような戸惑いで、そろそろ心が弱ってくる。
このあと30分以上経ってもまだ抜け道が見つからない場合、心は完全に打ちのめされ、不安にとらわれてしまう。
「ええと、ちょっと、さっきは阿呆とか言ってすみませんでした。いいかげん出口教えてください。おねがいします。まじで」というような心境になる。
まったくもって、ドナドナの仔牛ぐらい不安である。泣きそうっていうか。鳴きそうっていうか。
こういう悲惨な状況の時にわたくしがよく連想するものは二つあって、ひとつは天にまします何者かが地上を見下ろしながら、同じところをぐるぐる回り続けているわたくしを指さして、ばっかじゃねーの、とか言いながらポテロングを食べている光景である。
いまひとつは錯視で有名なフレイザー図形で、これは実に端的な迷子のメタファーだと思う。
知らない人は下の図形を見て欲しいのだけれど、白黒の線が中心から螺旋状に渦を巻いているように見えるでしょ?でも渦の好きな場所を指さして、そこから白黒の線をたどってみてください。指先は外側にも内側にも行かず、ただずっと同じ場所を回り続けるだけだから。
つまりこれが迷子の本質である。
本人は外側なり内側なりに向って前進を続けていると思っているが、実際はおなじような場所を堂々巡りするばかりで、どこにも辿りつけない。ニーチェおじさんの予言した、永劫回帰の顕現。カジュアル地獄絵図。
実におそろしいことである。

ってなことを考えながら、さっきから出先で道を失って、携帯片手に呆然とした気持でこの文章を書いている。日が沈みかけている。
わたくしはもはやなす術もなく、ただだらしなく笑ってゐる。

フレイザー図形

追伸:このあと、ちゃんと家にたどり着きました。半泣きで。

そんなあなたが輝きです。

IT関係の仕事をしていると、時々海外の会社から「オフショア開発請け負います」みたいな営業メールが届くことがある。
大抵は英語のメールで、そもそもオフショア開発をする必要が生じたこともないのでスパム扱いにしてしまうのだけれど、最近日本語で書かれたガッツのある営業メールが届いたのでここに紹介する。
以下、メール抜粋。

ありがとうございます、XXX会社のXXXであると主張します。
突然の呼び出しに関心を持つことなく、慎重な通信をどうもありがとう。
会社は中国で岸開発から請け負っております。
三年間以来日本サイドのお客様より良い評価を博し、力のほうも輝きです。
超ディスカウント価格と優れる品質で雌ネットの競争力をアップさせられるような自信がある。
最初は、我々のインターネットアドレスを見たいと頼みます。
もし海外からシステム構築を計画がありますれば、安心出来るようなサービスをする以外はぉニーズに合わせることも努力する。
躊躇なしでコミュニケーションをすることができるならば、かならず精一杯で対応します。
質問は来て、至急なお一層詳しく関連がある情報を提供します。
上記のものとして、前もってあなたに感謝します。


おそらくは翻訳サイトで日本語に訳したものを、片言の人がちょっと手直ししたみたいな感じなのだろう。
わたくしの働く会社では、雌ネットというものの競争力アップはおそらく必要ないと思うのだけれど、ガッツのあるメールをいただけて輝きです。
このように躊躇なしでコミュニケーションをとれる営業力って、ある意味すごい。
おかげで楽しい時間が過ごせましたので、前もってあなたに感謝します。
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